島の桟橋には「マークのヨット」と大きくペイントされた手漕ぎボートが用意されていた。
マークは歌う。ギターを弾きながら。

Hey,Girls!
お嬢さんたち、見送りありがと
オレ様の船出だ ドラを鳴らせ
おっと、シャンパンの瓶は割らずに
オレに投げておくれよ
それじゃ、あばよ
Good bye,Good Luck,SAYONARA

マークはロンドンへ帰ってきた。
が、あの安ホテルへは戻りたくなかった。
このギターの持ち主がカンカンになっているだろう。
お金を要求されるかもしれない。でも悪いのはオレじゃない。
荷物を間違えたボーイが悪いのさ。
そうだ、あのボーイが悪いんだ。
オレは正々堂々ホテルへ戻るぞ。

ホテルのロビーではジョウとユウキが待っていた。
わぉ!なんてことだ。
たくさんの記者に囲まれている。

「マークだわ!」

マークがロビーに足を踏み入れると一斉にカメラのフラッシュがたかれた。
どこから来たのか、女の子たちが悲鳴を上げている。
すでにマークと同じ髪型のかつらをつけて何か叫んでいる。
えぇ?!ジョウとユウキも?
あ、オレの錯覚か。

マークはレスポールとともにジョウとユウキの間にはさまるように立った。

「今回のツアーについて聞かせてください。」
なんだって?オレはそんなこと聞いていないぜ。
・・と答えようとしたマークをジョウとユウキが制した。

「君が同行記者としてついて来てくれるならば、世界中、いや世界の果てまでも行くぜ!」
マークの隣りでジョウが大きな声で吠えるようにそう言った。
よく見ると若くてかわいい女の子だった。

「ホント?」
「あぁ、本当さ。な、マーク。」
ジョウはマークの背中をポンっと叩いてウィンクした。

「ところで君の名前は?」
ユウキが尋ねる。
「申しおくれました。私、リリーと言います。ニューロックマガジンのリリーです。」

「リリーか、いい名前だ。」
ジョウとユウキは同時にハモるように言った。

(つづく)

「お話」なのでもちろん全てが架空の世界です。
どこかで聞いたような名称が出てきたらニヤリとしてもかまいませんが、それ以上の追及はしても無駄です(笑)

azarashiumiさん
拍手をたくさんありがとうございます
感謝