この記事は拙作「窓辺」についての制作裏話です
お読みくださっていることを前提にしています

 作品下のコメントにも書きましたが、今回は今までに少し書いてあったものを1つのお話にまとめました。
出だしの博士が蔵書室へ行くくだりはなんと2年以上前に書いてあったものです。
題名もその時付けたものです。
本当はジョーが別荘に来て間もないときのお話に使うつもりでした。
感情が高ぶったジョーがレターオープナーを投げつける・・というわけです。
もうお分かりですね(笑)

 古いガッチャファンの間ではかなり不評だった実写映画「ガッチャマン」
思った通りの結果でしたが、やっぱり一応記念に「あー、あのころ書いたお話か」というブックマークはしておきたくてちょっと無理やりでしたが健(ガッチャマン)が肺炎でお仕事を休んだエピソードを入れました。
もちろん健を演じた松坂桃李さんが肺炎のため試写会の舞台あいさつを欠席したことがネタ元です。

 博士と健がジョーの思い出話をしているとゴーストのジョーが現れるという設定にしようと思って書き始めたのですが、もっとジョーと話をしたくて科学を忘れた(?)博士が青森県下北半島の恐山まで出かけてイタコの口寄せを経験してくるというところまで書いてやっぱりやめました(汗)


以下に恥ずかしながら下書きに残っていた没原稿をば・・

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そんなある日、いつものようにパトロールへ出かけようと健はキッチンで「ISO特製ブランチ」を二人分電子レンジで解凍していた。
コーヒーメーカーからは、モカブレンドのいい香りがしていた。

その時だ。
別荘の窓の外で車の音がした。
聞き慣れたあのエンジン音だった。

(ジョー?)
思わず健はその男の名を口にしそうになった。

窓辺に寄ってみたが、車の姿はなかった。
しかし、道の向こうにかすかに土煙が見えたように思えた。
次の瞬間、背中に体温を確かに感じた。
あいつだ。
あいつの息遣いも聞こえる
ギャラクターと対峙した時に、唯一「後ろ(背中)」を許せる存在だったあいつ。
後ろを振り向かなくてもそれはわかる。だが・・

「チーン!」

電子レンジの音に健は我に返った

「どうした?健」
いつの間にか博士がダイニングに座っていた。

科学の忍者としてこんな話をしてよいかどうか迷ったが、健は今自分が体験したことを南部博士に打ち明けた。

ブランチを静かに口に運んでいた博士は紙ナプキンでひげと口を拭くと
「明日にでも日本の青森県へ行ってみないかね?」と唐突に健に尋ねた。

「アオモリ・・?」
「そう、そこには死霊の口寄せをするイタコと呼ばれる女性がいるのだ」

健は博士の口から非科学的な言葉が出たことに少し驚いたが、自分が感じていたことを博士も感じていたに違いないと思い直した。
「わかりました博士。今日のパトロールは早めに終わらせて支度をしておきます」

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「ジョー、ホントにお前なのか?」
「お前、ギャラクターの本部で何をした?」
「羽根手裏剣・・」

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「そのことは隊長さん・・いや、健の親父さんがこっちから見ていて教えてもらった」
「おめぇが生まれる前に死んじまった小さな女の子と親子三人で幸せに暮らしている」

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「もし生きながらえたとしても自由を奪われてベッドに横になっているだけの人生なんてまっぴらだ。
博士に世話になっているただの赤ん坊なんかにはなりたくねぇのさ」

「疲れているんだもう眠らせてくれ・・。」

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と、言うわけで何年もお蔵入りになっていた「窓辺」の出だしが使えてよかったわ
まだ熟成&発酵しているお話やら2行くらいだけの書きかけやら、たくさんあるけど世に出るのはいつになることやら・・(大汗)